飛行機は・・定刻通りはばたきエアポートに到着した
到着ロビーで・・・ずっとが来るのを待っていた・・・俺
ターンテーブルが回り始め・・・多くの乗客がそちらへ向かった
そして俺は・・・・
小さなボストンバック一つ抱えてこちらへ向かってくる・・・を見つけた
連れの男に・・・会釈して・・軽く手を上げると
人波をかき分けるように・・・俺に走りよって来た
俺は・・・、その顔を見ると・・・急に抑えていた愛しさが溢れるのを感じた
「珪くん!」
が、俺の名を呼ぶ
サングラスの奥の瞳が・・・少し照れたように微笑んだ
俺は・・・何も答えずに、を抱き寄せた
「・・んん、珪くん、人が見るよ」
「いいんだ・・・誰が見ようと構わない・・・」
「でも・・・ちょっと・・・」
「・・・会いたかった・・・」
「ありがと・・、私も会いたかった・・・でも怒られちゃうかも・・」
「あ・・・」
ひと時、の身体を強く抱きしめていた俺は・・・
少し落ち着きを取り戻して・・・に回していた腕を離した
ターンテーブルで・・大きなスーツケースを受け取った・・の連れが
こっちを見て・・・睨んでいるのが解かった
「ふぅ・・・」
「・・ごめんな、大丈夫か?顔赤いけど」
「え?顔赤い?見ないで!」
「大丈夫だ・・・、赤くても可愛いから・・おまえは」
「もう、珪くんったら・・・、余計照れるからそういうこと言っちゃダメ」
俺の言葉に・・は更に赤くなって、俺はの頭をポンポンと撫でた
「あいつ・・・、置いて帰って平気なのか?」
「うん、今日は珪くんの家に直帰だって、ちゃんと言ってあるから」
は嬉しそうに、俺を見上げ・・・飛び切りの笑顔を見せる
俺たちは・・・身体を寄せ合い・・・連れ立って空港を後にする
俺の家までは・・タクシーで30分
座席で腕を絡めた俺たちを乗せて・・・タクシーは高速道路に入った
首都高速はばたきトンネルの中・・・オレンジの照明灯が・・・通り過ぎるたびに
二人の横顔が・・・窓ガラスに映る
翼橋を程なく越えて・・・
はばたきベイブリッジから眺める・・・ランドマークタワー
そして、大きな観覧車
ロマンチックな夜景・・・・はうっとりしているのか
無言で・・俺の手を握り締めてくる
俺は・・、温かなの手を・・・包み込み
そして・・・、身体を引き寄せる
(あん・・・ダメ、珪くん)
が小声でそう言うけど・・俺は家につくまでの時間さえもどかしい
タクシーの運転手は・・・、ルームミラーを「見えなくなるよう」に少しずらした
俺は・・・、それに感謝して・・・の頬にそっと唇を寄せた
(あ・・・)
が更に固まって・・・俺は、その身体をまた抱きしめた
俺の家に着いた時、時刻は既に午後11時を回っていた
俺は玄関を入り・・・ドアが閉じたと同時に・・・の唇を奪った
「んっ・・・」
小さな吐息が漏れて・・・は、俺の背中に腕を回した
俺は・・・、離れていた時間を埋めるように唇を求めた
ひとしきり、の唇を味わった俺は、リビングへ向かう
は俺の後について、リビングにバッグを置くとキッチンへ立ちモカを淹れはじめた
はばたき学園を卒業して芸能界入りしたは・・・
多くの雑誌のグラビアを飾るようになった
最近では、バラエティ番組にゲスト出演することもあって
・・・もちまえの・・少しお茶目なコメントの多くが受けて
どんどんと人気が出てきて・・・、俺と会う暇もないほどになっていた
俺は相変わらずモデルの仕事を続けていたが
それは大学へ行く傍らのバイトとしてで・・・
本格的に芸能界で仕事を続けているのことが心配でならなかった
「撮影・・・、どうだったんだ?」
「うん、今回は順調に終わらなくて辛かった
時間も遅くなっちゃって、珪くんを待たせちゃった、ごめんね」
「別に・・・・いいけど」
「あ〜、いいけどって言ってる時は、良くないって顔してるんだよ、珪くんは」
はいたずらっぽく笑うと、俺の頭を小突いた
こんなに可愛い笑顔を・・・俺以外の奴が・・・見ると思うと
俺は・・・言いようのない感情に襲われる
それが「嫉妬」と名の付くものだと・・解かっているだけに
それを口にする事も・・・・出来ない
は、そんな俺の気持ちなど・・・解かってない
「でもね、撮影がどんなに辛くても、今のお仕事とっても楽しいの」
「・・ふ〜ん」
「珪くんが、モデルのお仕事しているの、傍で見てて憧れてた
でも、私とは違う世界なんだなって諦めたりしてた」
「・・・ふ〜ん」
「だけど、今は、カメラの前にいる自分を見てくれる人がいるって思うと
嬉しいし、やりがいもあるんだなって思うよ」
「・・・・」
そんな台詞を嬉しそうに目を輝かせて話す
俺は堪えきれずに、隣に座っている小さな身体をソファーに押しつけた
「あん・・・」
の口から声が漏れる
を押し倒した俺の目の前で・・・ピアスが揺れた
見たことのないそのモノに
胸の奥が焦がされる
俺は、その細い首筋に舌を這わせ、ブラウスのボタンを外す
浮き立った鎖骨・・・そして柔らかな胸元
俺は・・・まるで襲っているような勢いで・・・その肌を犯した
「んんっ・・・」
俺の手が、スカートに伸びて、その中へ入り込もうとした時に
は、その手を制した
「ちょっと待って・・・珪くんどうしたの、なんだか・・・変だよ?」
「別に・・・いつもと同じだ」
いつもと同じ・・・ずっと感じていたこの焦燥感
「・・・そんなに慌てなくても・・」
「おまえに・・・ずっと会いたかった・・・それだけ」
離れていたら・・・、が俺のところに戻ってこないんじゃないか
そんな馬鹿馬鹿しいほどの焦り
信じられないわけではない・・・
それでも・・・、昔とは違うが、俺の手から離れてしまうのが怖かった
「珪くん・・・」
「おまえが・・・、今の仕事好きなのは解かってる・・・それを邪魔したくない・・でも」
「でも?」
「・・・何でもない」
俺は・・・、自分の言葉が抑えられなくなっていることを感じた
結局は・・・ただの妬きもち
そんな情けない男のことを・・・はあきれてしまうんじゃないか・・・
そんな不安が俺を襲う
は、俺のおでこにそっと口付けてこう言った
「珪くん、私の左胸に耳をつけて」
「え・・・?」
「いいから」
俺は言われるままに、の胸に耳を寄せる
温かなその胸の奥で
・・・ドクン・・・ドクン
確かな鼓動が繰り返されている
そのリズムは、少し早く・・・俺は目を閉じてじっと聞き入った
「この音・・・聞けるのは珪くんだけだよ」
「・・・・・」
「ドキドキしてるでしょ、私の心臓」
「・・・ん」
「私は、変わってないよ・・・、珪くんに憧れて大好きで
・・・そんな高校生の頃の私と、何も変わってないよ」
「・・・」
「私は珪くんだけのもの・・・信じて」
俺は・・・、柔らかなその胸から離れ・・
そっとへ口付けた
「Mein Liebchen・・・」
「おまえ・・・、その言葉」
「珪くんに伝えたくて・・調べたの」
「わざわざ・・・か?」
「うん・・・、どんなことがあろうとも
Mein Liebchen・・・私の愛しい人は・・・あなただけなの」
「・・・・」
俺は・・・、目の前の愛しい女に・・こう告げる
「Ich liebe dich ・・・」
「珪くん・・・それは、どういう意味なの?」
「私はを・・・愛しています、そういう意味」
俺たちは深く深く口付けて・・・互いの身体を抱きしめあった
俺のくだらない妬きもち・・・きっと、それはこれからも続くだろう
けれど・・・、の気持ちは・・・絶対に離さない
そう心に決めた・・そんな夜だった
「珪くん、2階・・行こうか?」
「・・・ん、続き」
「えへ・・・優しくね」
俺たちは、温かな体温を感じるために・・・肌を重ねる
何度でも・・・そう、これからも・・・ずっと
END
「Mein Liebchen」はドイツ語です
この作品の原案及びタイトルの著作権は
永遠野乙女さまに帰属しています
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